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相変わらず、細々とながらも“少女まんが”読んでいます。
でも“少女まんが”と言いながら正しく少女期真っ只中の読者ではないので本来の少女まんがの定義からはずれていると思う。でもレディース・コミックという呼称には抵抗があるしねぇ、何か良い呼び方はないでしょうか?
で、本日は今年読んだ“少女まんが”から印象に残ったものについて、です。BLど真ん中以外は興味ないわ!という方はスルー願います。ごめんなさい。

まず春に単行本が出た吉田秋生さんの『海街diary 1 蝉時雨のやむ頃』。
代表作『BANANA FISH』は“ニアーなかをり”で同士にも人気がある(私も大好き)。その後もリンクした世界での大掛かりな作品(『YASHA』、『イブの眠り』)が続き、初期の頃のような身近だけれど繊細なお話はもう読めないのか(単発以外では)と思っていた。一転して鎌倉を舞台にした“市井のひとたち”を描いたのがこのシリーズ。
一話目の「蝉時雨のやむ頃」は【こんなお話】 <大いにネタバレしています>
両親の離婚後、育ててくれた祖母(故人)の家に今も三人で暮らす香田姉妹。そこに幼い頃出て行った父の訃報がもたらされる。しぶしぶ赴いた東北の地で、腹違いの末妹と父の再々婚の相手に対面し、葬儀にも参列する。互いの中に通じるものを感じた三姉妹と末妹は一緒に暮らす事を選択する。 (他に「佐助の狐」、「二階堂の鬼」を収録)。

あらすじだけを追うとこれだけの話なのだが、約70頁のなかに登場する三姉妹、末妹、父の再々婚相手の他に、姿の出ない父と母のひととなり生き方が描かれており、密度が高い。が、読んでいて息苦しく感じることはありません。むしろ笑いながらサクサク読める。それでいて所々にガツンと来るセリフがあり、読み応えありました(満足!)。姉妹を主人公に据えた作品は洋の東西・時代を問わずたくさんありますが、家族という小さな単位の中で色々なタイプの女性を描けるので作家にとっては挑戦し甲斐のある設定なんでしょうね。確かに読んでいてついつい女性の生き方についてまで考えちゃいました(いや、そんな読み方をするのはアンタだけ!?)。
しっかり者の長女、酒と男にユルい次女、飄々としていてマイペースの三女、環境のせいで長女のひな型のようにしっかりしている末妹、幾つになっても親になっても頼りなく自立できない再々婚相手の女性。姉妹は女性のなかに父の出奔後、自分の親に子供たちを押し付けて出て行ってしまった母の姿を見る。
――― 「あれだけ人目も気にせずこっちがドン引くぐらい泣けんだもん/ストレスたまんないよ/うちらの母親にそっくりじゃん」 ―――
――― 「ああいう人はすぐまた別の頼れる人を見つけるものよ」 ―――
そして話の縦軸となっている父の存在。
――― 「(前略)あんなにたくさんの人がお葬式にきてくれて/みんながやさしい人だったっていってた…」 「やさしくてダメな人だったのよ/友だちの保証人になって 結局 借金を背負って 女の人に同情して すぐその人と どーにかなっちゃうなんて/ダメなやつの典型じゃないの」 ―――
そんな父が安住の地に選んだのは、“お気に入りの場所”からの眺めが鎌倉に似ている土地だった。そこで彼が最後まで大事にしていた三姉妹の写真を見てようやく折り合いをつける。
――― 「…お父さん やっぱりやさしい人だったんだよ/ダメだったかもしれないけど/やさしかったんだよ」 ―――
ラストはこう結ばれる。
――― 我が家に末の妹がやってきた ―――

二話以降もこの四姉妹を核に周囲のひとを絡ませながら話は続きます。各話毎に話題・中心人物が変わっていくので連作形式というのが合ってるのかな?
アクション大作に慣れてしまった人にはもの足りなく感じられるかもしれないけど、いずれも笑いとしんみりの加減が良くてベテランの上手さを感じます。
吉田さんは以前にも鎌倉を舞台にした作品(*)を描いていて、今回そちらの世界とリンクしているのも面白いです(朋章が出てくる!)。また個人的に、舞台となっている鎌倉はよく知っている場所なので、見覚えのある場所が描かれているのも楽しみ。
派手さはないけど、少女から大人の女性まで楽しめる作品です。オススメ!

<(*) 『ラヴァーズ・キス』 鎌倉を舞台に高校生男女6人のせつない恋模様を描いた作品。えろは無いけどBL要素がばっちり入ってます!男女ものも楽しめる方なら是非オススメしたい作品です。映画にもなってますが配役が全然ダメ!(女の子のチョイスはいいけど)ただし鎌倉の風物は堪能できます>

ひとつ目が長くなってしまったので後はさっくり簡単に(汗)。
 『 山へ行く <シリーズ ここではない★どこか 1>』
萩尾望都先生の今年の新刊は趣向を凝らした短編集で、少女というより大人向きの作品。
なかでも『柳の木』は実験的というか、冒険的というか。1ページに2コマという固定した画面構成で、説明の無いまま絵のみで歳月の経過を語る。歳月の経過そのものが物語というわけ。そして、見守るものと見守られるものの話にこうも心を揺さぶられたのは、やはり年齢を重ねたからこそだと思う(ネタバレになるので話の説明が出来ず、すみません)。
そして『くろいひつじ』は自分の暗部を暴かれたような心持ちになり、最も強い印象を残した作品。ここまで極端でなくとも、少しでも家族の中で疎外感を感じたことがある人には痛いお話だと思う。
まんがというジャンルの成熟を感じる一冊。

最後は、今年、ブログの更新停止を宣言された秋月さん(@月と凌霄花)の記事がなければ読まなかったであろう作品(深く深く感謝)。偶然にも同じ年に完結。
 『後宮』 全5巻 海野つなみ/講談社・コミックスKiss
古典『とはずがたり』を作者・海野さんの解釈でまんが化、「古典なんか忘れちゃったよー」という私のような人間にも読みやすく、原作ファン(もちろん本家の古典の!)も楽しめたという稀有な一品です。難しい題材をよくぞ最後まで描ききった!(編集部もよくぞ描かせた!)
要は、男女のドロドロ愛欲絵巻。普段なら見向きもしませんが、現在とは全く違う考え方・価値観の時代(鎌倉時代)の“宮廷もの”に惹かれて購読し始めました。ドロドロ愛欲とは正反対のさっぱりした海野さんの絵柄が私的には大変ありがたかったです。まんがの強みですね。 また、秋月さんも指摘されている通り、シリアスさと笑いどころのツボの押さえが巧かったのも、読み易さの一助になっていたと思います。
主人公の二条という女性は、いってみれば“女版・流され侍”。こうした“モテ話と不幸自慢”をする女なんて宇宙人のような存在としてしか認識できなかったけど、読了後は、共感は出来ないまでも「アンタも大変だったのねぇ」と肩の一つも叩いてやりたいと思えるように(まあ、オトナ)。ま、あくまでも本の中の人物だからですけどね(笑)。

読んだ本自体が極少なので、今年のまんが状況を正しく反映しているとはいえません。
他にも「こんな本が面白かったよー」というものが有りましたら教えていただけると嬉しいです。
来年もステキな作品に出会えますように……。



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