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11月のディアプラス文庫のラインナップを見て「松本さん祭りデスか?」と呟いたのは私一人ではないはずだ!
そんな松本さんの中でも名前のインパクト大、何となく「イラスト慣れしてない?」と思わせる初々しさもあって気になっていた松本ミーコハウスさん。新刊が出てもしばらく迷っていたのだが、tatsukiさん@la aqua vitaの記事に背中を押され購読しました。雑誌から追い掛けていた方には「遅っせーよっ」とお叱りを受けそうな出遅れっぷりですみません(記事にもなかなかまとめられなくてすみません…/汗)。

 『恋のまんなか』 松本ミーコハウス (大洋図書)

【こんなお話】
内気な優等生の一之瀬司は、密かに同級生の松原千歳に想いを寄せていた。だが、ある日、その気持ちを本人に見破られ、無理やり告白させられてしまう。
松原のアパートに連れていかれた一之瀬は、言われるままに松原と体を重ね……
どうしようもないほどのさみしさを抱えた少年たちの行く先は?―――

<ネタバレしています>

有名進学校に落ちて公立校に入学したものの、一人も親しく話せる相手がいない一之瀬。
彼が密かに魅かれている松原もまた、安寧な場所の無い少年だ。連れ込まれたアパートの荒涼とした部屋はそのまま松原の心象風景のよう。
甘酸っぱい青春ものならここで孤独な二つの魂は相寄り…となるが本作は違う。とにかく全編にひりひりした空気が満ちており、甘さはその奥底に隠されている。

始めのうちの二人の関係は一方的なもののように見える。松原がカミングアウト出来ない一之瀬に付け込む形で関係を結び一貫して支配者の態度を取るのに対し、一之瀬は情けを乞う立場に甘んじるからだ。更には松原に誘われるまま家を出てしまう。だがそれは、あくまでも表面的な事だ。
自分ではどうにも出来ない状況に苛立っている松原。
そんな松原に自分が与えられる全てを与え続ける一之瀬。
一之瀬には“ひたすら与える”という母性のような側面があり、何をされてもどんな時でも松原を許し愛す。それは一之瀬を自分に都合のいい道具としか思っていなかった松原にも変化をもたらしていく。
この辺りの描写が、明治カナ子さんを思い出させる意味のある“えろ”であることが素晴らしい。
BLにおいて今や“えろ”が重要な要素の一つである事に異論は無いと思うが、“意味ある”ものは圧倒的に少ないからだ。

もう一つ、この作品を語る上で欠かせない要素が彼らを取り巻く家庭環境だ。
話もキャラクターも全く違うし、かなり“アダルト・モード”(前述のえろ増量)になっているが、これはもう一つの『リトル・バタフライ』(高永ひなこ)だと思った。
但し、松原のみならず一之瀬も恵まれた環境にあるわけではなく問題を抱えており、この点が『バタフライ』とは大きく違う(痛さも増量…)。
そんなこんなで、二人の出会いから逃避行に至るストーリーと繰り返されるせっくすに、古い青春映画を連想してラストがどうなるかビクビクしながら読んだのだった(何しろ最近のBLは油断がならないので)。
結果として、オトナとコドモのあわいにいる彼らの青春逃避行は痛くて切なくて哀しいけど、決して絶望的な未来を目指すものではなかった。
ああ、JUNEではなくBLで本当に良かった!(彼らの未来に幸多かれと祈ってしまう読者にとって有り難いSSも有り)

「今年はコミックの当たり年じゃないかしら」とは、お友達のHさんのお言葉。
確かにニューカマー、新人(初単行本)にアタリが多く、読書量が激減している私でさえ充実感があった。この本もまた、読んで良かった!と思わせる力を持っていました。
ちょっとクセのある絵柄ですが、とにかく読んでみて!と言える作品です。 オススメ!!



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