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しっかり者の新妻・18歳の智生(ともき/専業主夫♂)は、愛する旦那さま(公務員♂)のため今日も料理に家事に奮闘中 そんな健気な奥さまの誰にも言えないヒミツ……それは関東最大のヤクザ組織の跡取りってこと! 平凡な奥さまでいたいという願いむなしく、秘密カジノで、人妻の貞操をかけたギャンブルに挑むことになってしまう。そこで出逢った旦那さまそっくりの闇の帝王キングって……!?(裏表紙あらすじ)


予告されたタイトルを見て「わーい、久しぶりの(単独での)ひちわさん新刊はトンチキだーっ!」と、期待感いっぱいで指折り数えてお待ちしてました。他にもそういう方はいらっしゃったのではないでしょうか?
トンチキ界における『暗黒神話 ~人外魔境編~』の後の孤独な戦い(私の推測です)で相当なダメージを負ったのか発刊の延期もありましたが無事に出て本当に良かったー。
しかしですね、かなりの疲労を伴うダメージは、多少の延期では回復しきれなかったように思えます。
以下、心ならずも辛口&ネタバレ含みに(涙)。

出だしは快調で、往年のTVドラマのように <ごく普通のふたりは ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。でもただ一つ、違っていたのは……> と、ナレーションを入れたいくらい。
そして、この出だしからしてトンチキ全開! 何しろこの作品の世界では <18歳で結婚するのは「早い」「家庭に入るのは もったいない」> とは言われても、<男同士で結婚するのは おかしい> とは言われないのです。
そう、先ずはここが入口。入口でつまづいたら全く楽しめないでしょう。これはまさしくトンチキワールド、四角く読んじゃあ ダメダメ☆
新婚さんの日常、先輩主夫とのやり取りから実は極道の血を引く智生と彼に跡目を継いで欲しいかつての配下たちの登場まで、調子よく進んでいく。
なのに、たこ焼き屋のトクさん登場の辺りから もどかしくなっていくのです。
自分の秘密――極道の血を引くことを夫に隠している――を知られたくないと脅え悩む、それは当然。見知った人の身の上を案じ、手を差し伸べようとするのもいいでしょう。でもその辺の描写が真面目なのが いただけない。大仰にシリアスならクスクス笑えるのに、中途半端な感じがしてしまうのです。トンチキとコメディがちぐはぐに縫い合わされたパッチワークみたいというか。或いは、ひちわさんは世界観がトンチキなだけでコメディを書いたつもりなのでしょうか? だとしても成功しているかについては疑問です。
それから普通の結婚生活と誠実な旦那さまを深く愛し大切にしたいと散々言っていながら、肝心の旦那さまとの出会いから結ばれるまでが割愛されているのも首を傾げます。このエピソードがしっかりしていたら、あちこちでチマチマ言わなくとも思いの強さ深さが伝わるし、トンチキが映えるのに。
終盤近くでの、“闇の帝王キングが智生をなぶるシーン”だけが突出して輝いていた(それまでのお行儀のいい夜のシーンに比べて/笑)以外は何かモヤモヤしながら読んだのでした。

なんだかモヤッとした一つの要因として考えられるのは智生の性格設定かも。
母親の口癖が「組員は皆あたしの子供」で、極道の一家とは家族のことと、幼い頃に刷り込まれたとはいえ、係わる人の面倒を見ずにはいられない。極道の血というより家長体質なんだと思う。
プラス、誰かの、もっと言えば愛する人の役に立たないと自分に存在意義が無いように考えている節がある。これは孤独な子供時代のせいか。
これらが半端に雰囲気をシリアス方向に引っ張ったのじゃないかしら。
私見ですが、もっとおバカにならないと健気系とトンチキの相性は難しいと思います。

しつこいようですが私 トンチキは好きなのです。良いトンチキ作品を読むと清々しいくらいに世俗の悩みは はらわれ、スッキリ爽やかに「本当ーっにバカだなあ」と笑うことが出来ます。こういう楽しみ方は他では なかなか得られません。おそらく作者も、たっぷり好き勝手やらせてもらって本当に楽しいんじゃなかろうか。そういう作品に“少々”の整合性や説明不足をただそうとは思いません。それがトンチキ。
でもね、これは読者の身勝手なのですが期待する作家さんにはトンチキといえども多くを望んでしまうのです。ましてアノ『暗黒神話』での、放り出されたネタを拾って拾って繋ぎまくり補強し、思わぬ花を咲かせた手腕を考えると「どうしてーっ?」と言いたくなってしまうのです。どうも一冊でスッキリ終わった気がしないのです。トンチキなストーリーを楽しんでいたはずなのに読後がスッキリしないとは是如何に?
それでも “輝くシーン” があるだけに思います、「本当の新作を書いてーっ!!」と(本作は雑誌掲載作に加筆修正したもの)。 ああ、ひちわさん!やっぱり貴女は焦らしの女王!!
次回作も心よりお待ち申しております♪




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