2017.07 «  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  » 2017.09

スポンサー広告  --.--.--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
   東京国際レズビアンゲイ映画祭 (The 18th LGFF)   7/17(金) 於:青山スパイラルホール

『ベイビー・ラブ』 ( 『Comme les autres』 2008/France)
―――子供が欲しい! 子育てがしたい! 僕の気持ちを、分かって欲しい!
仕事に恵まれ、安定した生活を送っている小児科医のマヌ。満ち足りているはずの彼なのに、子育てを楽しんでいる親類や友人が、まぶしく見える。自分にも、あんなかわいい子供がいたら…。マヌの父親になりたい願望は、日に日に高まるばかり。しかし、パートナーのフィリップは、子供なんかいなくても十分幸せだと言うばかり。そんなある日、不法滞在者のフィナと出会った二人。強制出国の不安を抱えながら生活に追われる彼女に対して、マヌは大胆な提案を。フィナと偽装結婚をしてあげる代わりに、マヌの子供を産んで欲しいと。どうしてもフランスに滞在したいフィナは、その申し出に同意したのだが、一方、フィリップとの仲は気まずくなるばかり…。(プログラムより抜粋)

プログラムのあらすじだけ読むと、マヌもフィナも「えーっ、どうなの…」と言いたくなりそうな人物だが、映画を観たらちょっと違っていた。
マヌの子供好きについては献身的な仕事振りと応対から納得させられる。 自分の血にこだわっているわけではなく、とにかく子供が育てたいので養子でも良かったのだがフランスでは同性愛者の養子は認められないという(「スペインでは結婚も養子もOKなのに!」と叫ぶマヌ)。
子供は要らないというパートナーのフィリップとの関係もビミョーな雲行きとなり、焦るマヌはとんでもない手段を思いつくわけだ。
一方のフィナは当初、マヌの思いつき―偽装結婚と出産―の申し出について怒り、断る。 だが自分の窮地を助けられ失礼を詫びられ、マヌの人となりを知るうちに彼の力になってもいいと思うようになる。 彼女の立場も追い詰められ困っていたことも確かだが、恋愛未満の好意が生まれていたことも確かだと思うのだ。
だが身篭ってみて、好意は好意止まりであることに気付き絶望するフィナ。
彼女の選択が賢いものとは思わないが、愚かだ責める気にもならない。 既に充分痛みを知ったのだから。 むしろマヌの強固な願いに引き摺られた犠牲者のようにも見える。
そう、マヌこそ“握力の強い女”ならぬ“握力の強いゲイ”なのだ! 欲しかった子供も手に入れ、赤ん坊にひと目でメロメロになったフィリップとも縒りを戻し、公私とも大充実の人生となるのだから。
ラスト、働くフィナを見守るようにそっと子供を見せに行く二人。 自分たちの幸せが何の上に成り立っているのか自覚して、押し付けがましくないように現れる二人にホッとしたのだった。
プログラム選択の段階で「フランス男(自己チュー)の赤ちゃんおねだりモノかあ。ウザそー」と一旦外していたのだが、本当に観て良かった。
ほろ苦さもありつつ、温もりを感じる作品である。


『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』 ( 『An Englishman in New York』 2009/England)
―――自らの信念を曲げずに生きた老作家が掴んだ栄光、そして挫折
イギリスの売れない老作家、クェンティン・クリスプは、出演したテレビ番組がまさかの大当たり。一夜にしてイギリスの有名人となる。しかし、自らをゲイだと公言する彼への世間の風当たりは強く、ついには悪魔呼ばわりまでされてしまう。そんな時、友人の助言により訪れたニューヨークは、彼にとってまさに新天地だった。彼のユニークな言動やライフスタイルは、ニューヨークで人気の的に。そんなある日、流行の兆しを見せていた「新しい病気」についての彼の発言が、物議の的になってしまう。真意を理解されない彼への風当たりは、ここでも激しくなっていく。失意の日々を送っていた彼は、ある日、才能豊かな青年と出会う…。(プログラムより抜粋)

Stingのアルバム『Nothing Like The Sun』は私にとってのベストアルバムでもある(現在)。 私の葬式の際には経はどうでもいいからこのアルバムをずっと流して欲しいと頼んでいるくらいだ。
特に『Englishman in New York』 には飽きることがない。
この曲がイギリス出身の作家クエンティン・クリスプをモデルにしていることは当時から知っていた。が、彼がどんな作品を書き、どのような経歴の持ち主なのかは全く知らなかった(何せ検索なんて無かった頃ですからね)。
かろうじて歌詞から、独自の生き方を貫いた人、どうやら奇矯なところのある人らしいとは推測できてもボンヤリとした理解でしかなかった。
今回この映画を観て、ようやく分かった!!ような気がする…

映画は1970年年代のイギリスから始まる。
既に老境に差し掛かったクリスプは自分の生き方、身の処し方というものを定めていて揺るがない。変化していくのは世間なのである。
クリスプの言動やファッション(老嬢のようにも見える老紳士!)を かつては奇怪に感じた人もいただろうが、今見ると上品に感じる。 流行語となってウンザリさせられた「品格」という言葉も彼にはピタリと当て嵌まるのだ。
老いを深めていっても尚、揺るがず、凛とした姿勢を崩さぬ彼の姿は美しい。
少々残念だったのは彼の恋愛事情についての言及が無かったこと。
もうちょっと“匂わせる”くらいは しても良かったんじゃないかなあ。
あれこれ風呂敷を広げず話を一つに絞った、映画としての一般性を取った結果なのかもしれないけど、ロマンスも欲しかったよー(涙)。
ともあれ私にとっては忘れえぬ一本となった。 制作スタッフに感謝である。



管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。