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ワタクシ難しい話は得意じゃない、というより無理がある(涙)のですが自分で始めたからには頑張らねば…。まず越えたいのは「馬鹿の壁」か?(笑)

私が[ご案内]で「今のBLと呼ばれる作品の、直接の親とまでは言えないにしても「祖の祖」の一つとくらいは言えるのではないか、或いは作品が生み出される触媒となったのではないか」といったのは、主に70年代の少女まんがを指しています。始まりは自然発生的に現れた作品たちですが、今さら私が指摘するまでもなく根底にはジェンダーの問題-問題が大仰ならばジェンダーに対する意識と言い換えてもいい-が潜んでいた、といっていいでしょう。また当時のグラム・ロック(デビッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」や「ロッキー・ホラー・ショー」、T・レックスなど、聞いたことありませんか?)の流行も影響があったと思います。
当然のことながら作家によりアプローチの仕方やテーマは違っています。なかでも「性(別)を越境する」キャラクターは作家にとって魅力的であったようで両性、中性、二次的に男装・女装のモチーフはたくさんの方たちが採り上げました。現在見掛けることが少なくなった(絶滅危惧種?)こういったキャラクターがJUNEの初期作品にしばしば登場するのはこの頃の作品にシビれた子供が成長して創作活動に入ったから、とみることもできます。
本日はサルベージ物件の中からそんな「越境者」のお話を紹介します(のっけからネタバレですみません)。

『薔薇子爵』 大和和紀
 全1巻/講談社コミックスミミ(1977.12)
<月刊ミミ・76.4、76.11、77.5、77.12月号掲載>

【あらすじ】
馬車が走り、女性がまだコルセットをしめていた時代。
人違いで辺鄙な場所の家庭教師にされてしまったフェーデは神話の中の住人のような美少年ギデオンと出会う。家庭教師の必要など無いほどの知識と美貌を持ちながらも隔絶した世界で暮らし絶望的な孤独感に苛まされる彼に共鳴するフェーデ。彼女はアクシデントから人を殺し追われていたのだ。彼女を逃がし自ら囮として崖から飛ぶギデオン。そこから彼の流離う日々が始まる―――<表題作より、他3話収録>

「薔薇」!で「子爵」!一体どんなキワモノ?と思われるでしょうか、それとも「懐かしい~!」と歓声を上げられるでしょうか?
私も記憶の海の中に沈めていた期間が長かったのですが、或るBL小説を読んだ時に「似たような少女まんががなかったっけ?」と、ウンウン唸って脳みその片隅から引っ張り出したのがコレ。どこが“似てる”と思ったかというと「恋愛ではないが“寝る”事によって相手を癒す」話の構造になっているところ。
が!再読して勘違いをしていたことが分かりました(恥~)。
そのBL小説では“寝る”事はであり受を「聖娼婦みたい」と思いました(商業行為は行なわず)が、この作品ではその部分が非常にあいまいです。1、2話では一緒のベッドで寝ているので“何事かあった?”かもしれませんが、3話では着替えさせるだけだし4話では部屋をシェアするだけ!どこが「“寝る”事によって相手を癒す」だよー!(滝汗)むしろこれは「流離うギデオンが出会った相手と一時孤独を共有し別れる」話です。何でそんな幻想を抱いたんだろう私?

さて、ギデオンは何故そんなにも孤独であったのか――流星の降った夜、偏屈な老男爵が焼けて飛散した機械類の中から見つけた赤ん坊、それが彼であり彼自身の身体の秘密ゆえに人知れず育てられた存在だった。それゆえ彼は自分の存在の異質さに苦しみ、自分の存在が受け入れられる場所を探して彷徨う――

ギデオンの身体の秘密、それは
「わたしは男でも女でもないもの…
 そして男であり女でもあるもの…」
さらには物語の始まりが19世紀(ではないかしら?)であり、4話ではプルトニウムの開発を巡る話が出て来る時代へと移っているにも関わらず、ギデオンは変わらぬ姿をしているのです。性も越え、時も越える存在…!

いま読むと表現(例えばセリフの一部など)に少々トンチキ風味を感じてしまうあたりも含めて耽美寄りの作品だと思います。
この作品では大和さんお得意のコメディ色は封印され、終始一貫シリアスです。また(一見とはいえ)男性キャラが主人公なのも当時の講談社の少女まんがとしては珍しかったのではないでしょうか?大和さんが人気作家であったから許されたのではないかと推測されます。
そしてこの作品と重なるように描かれた『KILLA』(1977~78年)では遂に男性キャラしかもダーク・ヒーローを主人公に据えます。一種のピカレスク・ロマンですね。主人公・キラと登場人物の人間関係は、後の吉田秋生『BANANA FISH』におけるそれと比較して読んでも面白いかもしれません(タコ坊主のゴルツィネと違って美味しいオヤジも出て来るし/笑)。1998年に全3巻の文庫版として発行されているので古書店でも見つけやすいと思います。


 【お願い】
図々しいお願いではありますが、当時の状況や作品について事実誤認や認識不足などお気付きの点がありましたらご指摘いただけるとありがたいです。順次訂正させていただきます。


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